最近びっくりした体験を一つ書くと、先週のある日の午後、幻覚を見た。現実の時空とつながらない光景を錯視するのは気味の悪いことだった。何が引き金だったのか。料理に使ったぶなしめじの中に変なキノコが混じっていたのか、新しく届いた印刷物のインクなどの成分がいけなかったのか、それとも散歩中に何かおかしなものを体内に取り込んだのか。
日曜日、天王洲の銀河劇場で、野村眞里子さんプロデュースのフラメンコ公演「沃野(ベガ)の月」を観た。スペインのフェデリコ・ガルシア・ロルカをテーマにした舞踊。ロルカは昔、戯曲をいくつか読んだことがあり、イプセンやチェホフとは違った、いきなり核心へと向かうような直裁な書き方に強い印象を受けたことがある。1936年8月、38歳で銃殺されるという最期も衝撃的だ。スペインのフランコ政権は1975年まで続いたというからヨーロッパでも特殊な近現代史を持つ国と言えるのだろう。フラメンコはとても独自色の強い舞踊・音楽の文化で、その濃密な個性に気圧される。アフリカのリズムやアラビアの感受性、ロマ族の香りも混ざり合っているのだろうか。ロルカの死にあたると思われる部分のソロ舞踊(アルベルト・セジェス)がことに強烈なパフォーマンスだった。野村眞里子さんの夫君の野村喜和夫さんのロルカを想う詩の朗読もあった。こういう舞台作品も、実生活の時空とつながっておらず、その意味で幻覚に近いものであり、くらくらする体験だ。
ついでに。土渕信彦さんの京都のギャラリーの新しい企画展示の案内が届いた。下の通り。
(池田康)
0 件のコメント:
コメントを投稿