今年の正月はそれらしいことを特にせずに過ごすかと思っていたが、大晦日にスーパーマーケットに行ったらいろいろ売っていたので、黒豆やニシンの昆布巻きや餅をついつい買ってしまった。それでなんとなく正月気分に染まる。仕事を離れて、映画を見たり、散歩をしたり。岬多可子さんは毎年年初めに合わせて小詩集の冊子を作られるようで、今年も年賀状がわりのそれが届けられた。掌詩集『草の日月』。その中から一篇「燎原」を紹介したい。
往きたい
けれど 往けない 隧道の
入口 その上からも
野そのものの
野が垂れて
葛の荒れ
むらさき色に香る発火を
数えるより早く
蔓は獣の力だ
足首を搦め捕られる
燃えひろがる
かぎりのなさに
ほんすじも えだみちも
とうに呑みこまれ
はるか遠く 奥のほう
焔の色が 揺れ
たおれるすがたが
ひとのかたちに似ている
(池田康)
0 件のコメント:
コメントを投稿